テスト項目書の扱いを変えるときが来ている気がする

ここ数年、「アジャイル開発でいかにしてQAとして価値をだすか」を考える機会が増えた。「スピードと品質を、どうやって両立するか」と言い換えても良い。

 

以下時と場合による、という大前提だけど、僕は最近、テスト項目書を作らないことが増えた。テスト項目書を作っている時間とテスト項目書を埋めている時間は、品質の向上に寄与しないと気づいたからである。なお、テスト項目書はつくらないが、テスト設計はちゃんとやる。何をどれだけテストするかは、テキストやマインドマップ等でアウトプットしレビューも挟むが、それをスプレッドシートテスト管理ツールに書き起こすことをやめた。項目書がないと振り返りが出来ないじゃないか、と思われるかもしれないが、設計で利用した成果物を利用したり、テスト実行時はなるべくログを残すようにすることで、カバーできる。

 

テスト項目書を作っている時間とは、料理でいえばレシピを書いている時間である(※レシピを考えている時間ではない。それはテスト設計にあたる)。レシピを書くことのメリットは、再現性が高まる(だれでも作れる)、振り返りがしやすい(レシピ内のどこをどう変えればより良くなるかが見えやすい)、分業できる、レビュー可能、といったところでしょうか。これはそのままテスト項目書のメリットにもなる。

 

しかし大事なことがひとつあって、レシピをいくらちゃんと作っても、腹は膨れないし味もしないのである。料理は調理しない限り、先に進まない。おなじく、テストも「テスト実行」が一番大事だと思っている(※やみくもに実行するのではなく、ちゃんと計画された上での実行の時間が大事)。品質とはテスト実行の時間と相関関係にある(はず)。

 

先程、テスト項目書のメリットを幾つか上げたが、ひとりひとりがスキルを上げれば、テスト項目書が無くてもカバー可能である。正直、現在のテスト項目書は、未熟なQAスッタフにテストをさせるために作られているという側面が大きい。全員がハイスキルなら、テスト設計さえちゃんとやっておけば、あとはコミュニケーションを怠らなければ、テストはしっかり行われると思う。

 

テスト項目書を毎回作るのを止めれば、コストは下がるし、スピードは上がるし、場合によっては品質も上がる(テスト実行の時間が増えるので)ので、アジャイル開発では大事な考え方なんじゃないかな、と思うのでした。