落ちるりんごを見て引力を発想できるのか?の件

バグを見つけるだけがQAの仕事じゃない。上流工程から関わっていって、バグそのものを減らすのもQAの仕事である。

…って話はよく聞くが、そんなん言われても、バグをそもそも減らすって、どうすりゃいいのさ、と悩んでる人がまぁまぁ見受けられるので、今回はそれをテーマにしてみたい。

 

QAチームは、日々、不具合を見つけます。その不具合を開発チームに報告して、修正してもらうわけですが、修正してもらってオシマイにするのではなく、QAチームに集められた不具合を観察して、そこから「なぜこの不具合が産まれたのだろうか」と想像してみることが大事なのです。

 

不具合の具体例を集めて、「なぜ不具合が産まれるのか」という問いかけをして、その原因の仮説を立てて、原因を潰すための実行案を考えて、それを実行してみて、結果をモニタリングをする。この一連のプロセスが「上流工程からのQA活動」となるわけです(ちなみに、不具合発生の理由は様々です。採用した技術、プロセス、人、組織の成熟度、などなどが不具合の原因になり得ます)。

 

不具合を見つけるだけでなく、不具合と向き合うことで、次の一歩に進めるわけですね。

 

なお、上流工程のQAで一番難易度が高いのは、課題を見つけることでも解決案を考えることでもなく、上流工程のみなさんに、QAの意見をちゃんと聞いてもらうことだったりします。

それを解決するには、QAの意見をちゃんと聞いてもらうためにはどうしたらよいのか?という問いかけして、仮説を立てて、以下略。

 

んまぁ、そんな感じで、QAって「決められた手順で操作して、決められた期待値が出るかどうかを確認する」という、具体性のカタマリみたいな仕事だと思われてますが、その先には抽象的な問題のカタマリが待ち構えています。そして、その抽象的な問題を解決することが、いわゆる「上流工程からのQA」だと、僕は思うのでした。

 

頑固さは失敗のもと

たとえば恋人が、あなたのために料理を作ってるとしましょう。

料理スキルの高いあなたは、恋人の作業工程やレシピをみて、どうみても料理が失敗することが予想できました。こんなとき、どうしますか?

 

作業工程の途中で、「このまま進めても失敗するよ。まずい料理ができるだけだよ」と、伝えることができますか?仮に伝えることができたとして、その後、恋人との関係性に、多少の緊張感が走ったりはしませんか?

 

つまりなにかっつーと、失敗する前に指摘すると、指摘された側は「自分のことを否定された」と、感じてしまうことがあると思うのです。プロセスに対する指摘が、個人への指摘と捉えられてしまい、なにかと面倒なことになりがち。これが、失敗した”後”だったら、割りとスムーズに振り返りや反省ができるんですけどね。

 

 

リーダやマネージャになると、「部下や関係者がまずいやり方してるけど、これは、今言うべきか、それとも失敗が表面化し始めてから言うべきか」というところで、結構、頭を悩ませます。失敗する前に言う方が間違いなく良いのですが、プライドの高い人だと、そのプロセスに対する議論に入る前に、感情の問題を解決せねばならないし。

 

結局、指摘できるかどうかは、その人が素直かどうかってところに着地するのかな。そう考えると、素直って、大事な素養ですよね。失敗したくなかったら、技術やノウハウを身につけることも大事ですが、失敗に片足踏み込んだときに誰かに指摘してもらえるように、素直さを身につけることも大事かもしれません。

 

昔から、冬は寒いし夏は暑い

プロジェクトの品質に問題が合ったとき、どこに働きかけるべきか?
ということを、QAは、まず、ちゃんと考えなければいけない。

 

どういうことかというと。

 

 テストプロセスにもに色んなファクターがある。
予算とか、テストの対象とか、スケジュールとか、ツールとか、スタッフとか、環境とかとか。
そして、その中で、変えられるものと変えられないものがあるはずである。

 

たとえば、会社が儲かってるなら、予算は気軽に変えられる(増やせる)だろう。
しかし、そうでないなら、予算は動かすことのできないファクタになる。
にも関わらず、「予算が足りません!テスターのヘッドカウントが少ないので品質があがりません!」と、叫び続けても、状況は何もかわらない。予算は増えないだろうし、品質もあがらないだろう。まぁ、リスクの提示にはなるかもしれないけど。

この場合は、予算が少ない中で何ができるだろうか、というのを考えることに時間を使ったほうが生産的である。

 

 

たとえば。冬は寒い。しかし、冬の寒さに幾ら文句をいっても、暖かくはならないのである。寒いのが嫌なら、服を着るなり、運動するなり、暖房のきいた部屋にこもるなり、南半球に行くなりしたらよい。

 

変えられないものに対して「変えた方が良い。なぜ変わらないんだ」と言っても、デキの悪い評論家かクレーマーにしか思われない。QAも、プロジェクトのどのファクタに対して、意見を言うかを、ちゃんと考えたほうが良いと思います。はい。

『ゲームテスト&QA』 その7

1日30分のペースでドラクエ11を続けています。

switchが買えません

スーファミミニも買えません

以上、最近のゲーム近況でした。

 

ということで、続き。

 

ゲームテスト&QA

ゲームテスト&QA

 

 

CHAPTER7 用意スタート! ゲームテストの世界へ

この章では、ゲームテスターとして採用されるために、どのような準備をしたらよいかが述べられています。すでにゲーム業界で働いている人には、それほど有用ではないかもしれませんが、転職するときに、この章に書いて有ることを意識してみるとよいかもしれません。

 

 

僕はテスターの採用活動に関わることもあるので、どのような人が採用されやすいかを、個人的な観点ですが、述べておきます。

 

ゲームテスターとして働きたいなら、ゲームを遊んでいる(消費している)だけでは、物足りません。MODやツクールシリーズで、なにか作ってみるとよいでしょう。unityなどで自作のゲームを作った経験があれば、なお良しです(まぁ、そういう人はプログラマになると思うけど)。

 

ゲームにかかわらず、好きなことをブログやまとめサイトで、情報を発信していると、好印象です。文章を書くことに抵抗が無いという証明ですし、アウトプットをする癖がついているということは、ひいては、インプットも得意な傾向があるためです。

 

ゲーム業界に知り合いがいれば、その人を通して、業界に入り込めないかを検討してみましょう。コネ、つて、はとても強力です(ただし、あなたが素直で優秀な人であれば、ですが)。

 

ゲームQAとして他社に転職する場合は、自分自身の評判を意識しましょう。この業界は狭く、ネットワークは密です。会社を越えての素性調査は日常茶飯事だと知りましょう。

 

最後にですが、ゲームが好きであること大事ですが、コアなゲーマーである必要はありません。個人的には、採用面接の際は、ゲーム以外の趣味を持っていることを重要視しています。ちょうどよい距離感でゲームに接することができるためです。
一方で、コアすぎるゲーマーは、ゲームを客観的にプレイできなかったり、ミーハー過ぎて仕事に手が付かなかったりで、テスターに不向きな場合があります。

 

 

以下メモ

・(採用の際)何もかもを理解しているかのような態度のゲーマーとは、距離を置くようにしています。彼らの考え方は融通がきかないからです。

 

・この業界では人脈が非常に大切です。知り合いが多く、好かれていればいるほど、採用される可能性が高くなります。

 

 

・テスターを志望する理由はおそらく、ゲームのテストをしたいか、単調なテスターの仕事を耐え抜いて、自分は絶対にテスター以外の仕事をしたいのだという気持ちを表現したいのかのどちらかでしょう

 

・テストは楽しく、ゲーム開発においても重要な仕事ですが、いつまでもQAで働く必要はありません。スタジオ内で上を目指していきたいのであれば、専門分野を決めなければいけません。

 

・テスターとして採用されるために、やっておくべきことで、一番おすすめなのは、「しっかり学ぶこと」でしょう

 

・ゲーム開発の採用には特定の要件があります。テクノロジに強い人や、ゲームに対する情熱のある人などです。

 

・履歴書や職務経歴書は、しっかり自分の意見を盛り込んで書きましょう。もし文章を書くことが嫌いなのであれば、そもそもテスターの適性がありません(バグレポートを欠くことができません)

 

・クラッシュバグなら、誰でも見つけられます。細部に対する鋭い注意力と優れた文章力が、新人テスターにとって、最も重要な能力なのです

 

・いつの日か、ゲームを制作することはゲームを攻略するよりも価値があることに気がつくでしょう。

知ったかぶろう。Jenkins編

ジェンキンス

 

ね、聞くでしょこの名前。あなたの職場でも。

ゲームQAという職種では、あまり使うことはないかもしれませんが(web系とかIT系のQAエンジニア職だと、使うこともあるようですが。求人の募集要項とか見る感じだと)、一緒にお仕事しているエンジニアや企画の人は、このツールを使ってるわけなので、話を合わせられるくらいには知ったかぶれる方が、デキるゲームQAだと思ってもらえると思うわけです。

 

ということで、この本をサラっと眺めてみました。さぁ、Jenkinsのことを知ったかぶりましょう。

 

[改訂第3版]Jenkins実践入門 ――ビルド・テスト・デプロイを自動化する技術 (WEB+DB PRESS plus)

[改訂第3版]Jenkins実践入門 ――ビルド・テスト・デプロイを自動化する技術 (WEB+DB PRESS plus)

 

 

jenkinsのことを、IT用語で説明しても結局ちんぷんかんぷんになると思うので、ここは思い切ってラーメンで話を進めみたい。そう、この世のほとんどは、ラーメンで例えられるのだ。

 

ということで、君は新作のラーメンを開発している店長だ。君の店にはスープ担当、面担当、具担当のスタッフがいる。こういうイメージ。

http://livedoor.blogimg.jp/higashihom/imgs/f/3/f34e4d88.png

 

まずはジェンキンス導入前の新作ラーメンの開発フローは以下の通り。

試作のラーメンを作るのは18時。この時間に、それぞれのスタッフから、麺、スープ、具を受け取り、店長のあなたが一杯のラーメンを作り上げる。そして、試食をし、改良点があればスタッフに伝え、明日の同じ時間までに、改良したモノを持ってきてもらうようにする。これを繰り返すことで、至高の一杯を作り上げる。

 

このフローもシンプルで悪くはないんだけど、弱点は試作のラーメンを一日一回しか作れない事だ。そのため、満足のいく一杯が出来上がるのに、日数がかかってしまう。世はラーメン戦国時代。スピード感無きものは、いずれ消え行く運命にある…。

 

 

ここでジェンキンスだ。

店長のあなたは、ジェンキンスと名乗る初老の男性を雇うことにする。彼に「へいジェンキンス、ラーメン作って」と言うと、麺、スープ、具担当のスタッフから、それぞれ最新の素材をもらってきて、ラーメンを作り、あなたの前に差し出してくれる。

これのいいことは、時間を選ばずに、いつでも最新の状態のラーメンを試食出来ることにある。つまり試食とフィードバックの回数を劇的に増やすことができるのだ。それはすなわち、品質の高いラーメンを短期間で完成させることが出来ることを意味する。

 

 

ジェンキンスの仕事はそれだけにとどまらない。正確な舌で味見もしてくれるのだ。例えば、スープ担当スタッフが、手違いで砂糖と塩の分量をテレコにしてしまったとしよう。このときジェンキンスがいれば、このスープがラーメンとして誰かの口に入ってしまう前に、「このスープ、砂糖と塩の分量が間違えてるよ。作り直してちょ」と、スープ担当に伝えてくれるのである。つまり、ミスの早期発見もしてくれる。

 

 

おわかりだろうか。ジェンキンスが居れば、ミスも早期発見でき、開発サイクルのスピードも上がり、品質の高い新作がいつもよりも早く完成するのである。

群雄割拠のラーメン業界。質の高い新作を出し続けることが、生き残る道であり、ジェンキンスはその一翼を担ってくれる頼もしい相棒というわけなのだ。

 

 

と、イメージはざっくり、こんな感じなのですが、実際のIT用語にも置き換えておきましょう。

素材を集めて1杯のラーメンを作り上げることを、IT用語では「デプロイ」といいます(試作品にかぎらず、実際の販売商品も含む)。

気軽に試食品を作って(デプロイして)改善をスピーディに進めることを、「継続的インテグレーション(CI、と約される)」といいます。世の中的にジェンキンスは、CIを促進するためのツールとして扱われているようです。

勝手に味見をしてダメ出ししてくれることは、「自動テスト」と言います。

  

例え話では、「ジェンキンス導入前は18時という決められた時間に作る」と書きましたが、実際、10年ほど前に私が居た現場ではそんな感じでした。テストROMのROM焼きを、9時と15時にやってたなぁ。

 

 

ラーメン食いたくなってきた。

夢のような仕事(悪夢じゃないとは言っていない

海外のゲームQAってどんな感じなんだろう?とふと思ったので、英語の勉強がてら、適当に検索してひっかかった以下のページを翻訳してみました。

www.businessinsider.com

 

ゲームテスターの実情について正直に書かれています。業務内容の詳細だけではなく、賃金の低さとかキャリアの難しさとか。アメリカの記事だけど、だいたい日本も似たようなものです。

 

ゲームだけしてお金がもらえる夢のような仕事ではないし、(ゲームテスターとして成功するためには)人とも沢山コミュニケションを取らなくては行けない職業ということを感じて貰えれば。

 

 

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ゲームテスターという職業は、多くの人に「夢のような職業」だと思われています。

しかし、もしあなたがゲームテスターを「好きなゲームを、ずーーと遊べる仕事だ!」と認識してるなら、これは大きな間違いです。
とある掲示板では、現役のゲームテスターが、ゲームQAテスターとして成功とは、「仕事を真剣に取り組み、高い期待に応えること」だと書き込んでいました。
今回、10年近くゲームテスターとして働いていた人物にインタビューを実施しました。
彼は幾つかの会社で働き、30以上のタイトルに関わってきた人物です。
以下、彼へのQ&Aです。ゲームテスターの魅力が少しでも感じてもらえればと思う。

 

Q:どんな感じでキャリアが始まったの?
A:EAのCSで働いてる友達が居た。そいつが人事にコネがあったので、グループ面接に参加する機会があった。そこを合格したのち、2週間の新人研修を受けて、テストの仕事についた。

 

Q:1日どんな感じ?
A:みんな、テスターを一日中ゲームしてる人だと思ってるけど、それは明確に違うよ。
また、テストプレイをしているときは、普通のユーザがやるような遊び方はまずしない。
私の仕事の目的は、あらゆる手段を試してゲームを破壊し、それを開発チームに共有することだ。
例えば、格ゲーでは「matrix testig」ということをやらなければならない。これは、全てのキャラ、全てのステージの全組み合わせで、問題ないかどうかテストすることだ。
また、「functionality testing」という手法もある。これは、各機能がちゃんと仕様書(ドキュメント)通りに動いてるかどうかを、調査する仕事だ。
なお、私は、一日中ゲームのテストをしているわけではない。ミーティングもするし、メールも出すし、バグ報告もする。
まぁ、普通のビジネススキルが普通に必要だね。

 

Q:標準的な1日の仕事を教えて?
A:プログラマのバグフィクスが上手くいってるようだったら、リグレッションテストから始めることが多いね。
それから、新しいビルドに更新したり、BTS上で開発者から不具合に対する問い合わせがあれば、それに対応したりする。
不具合に関しては、クローズしたり、再オープンしたり、追記したりして、開発者に返すこともある。
その後は、優先度の高い機能のチェックを始める。これらの仕事は、プロダクトチームから送られてくる(プロダクトチームが管理・監督していれば)。
実際の操作が必要なものはなんでも、気をつけて触ってみる必要がある(?)
最終的に、注意を引くものがなくなったら、「open testing」を実施する。これは、テスター個人に依存する。
私はよく、ユーザエクスペリエンスが想定したものになってるかどうかを確認するために、チートコマンドやデバコマで通しプレイをする。
何人かのメンバは特定のシステムを念入りにテストし、何人かのメンバはテキストチェックを入念に行う。
こうして、バグを見つけて、バグ報告書を開発チームに送る。

 

Q:QAテスターにとって、最も有益なスキルって何?
A:ストレスフルな環境でも冷静にいられることが重要だろうね。修羅場も多く精神的に辛い状況もあるし、いろんな驚くような状況と付き合わきゃならない。
でも、そんな環境でも成長出来るなら、この仕事を上手くさばける強い精神力が得られるはずだ。
また、何事も疑り深く見る性格の方がいい。人の言ってることを鵜呑みにしてるようじゃだめだ。
誰かが「上手く動いてるね」といったとしても、自分自身でチェックしよう。
柔軟性も大事だ。それが何なのか、それがどうやって出来ているのかを知らなくても、何かしら引き出せることが大事だ。
そして、異なる考えを持っている人たちと、上手にコミュニケーションが取れることが、何よりも大事だよ。
僕は、プログラマ、デザイナたちと、どんなふうにコミュニケーションを取るべきかを学んできた。
彼らの思考は全く異なってるし、彼らと上手くコミュニケーションを取るすべも、ぜんぜん違う
プログラマは、率直でぶっきらぼうかもしれない。だけど、デザイナにプログラマと同じ接し方をしてしまうと、彼らの反発を招いてしまうだろう。
他の人たちと、どのようにコミュニケーションを取るべきかというのは、決定的に大事なスキルだ。
テスターは彼らに「何がどうおかしいのか」を説明するのが日々の仕事だからだ。
もし、彼らが君に理解を示さないのであれば、それは課題の解決のための時間を無駄にしていることになる。

 

Q:お金はどう?
A:ぶっちゃけ、低い。業界の一般的な時給は16ドル~18ドルだ。けど、そのレンジの募集はQAテスターにはめったにないし、未経験だと雇われることさえ難しい。
大抵、時給10ドルくらいになるだろう。

 

Q:他に福利厚生とかどう?
A:大抵、福利厚生はない。けど、カリフォルニア州は入社して90日以上経つ雇用者には、手当を出すようにした。
今では、契約社員も医療給付を受けられるようになった。
他に役得としては、ただで関わったゲームが貰えることかな。あと、ゲームのTシャツももらえるね、これはうれしい。

 

Q:契約社員が多い?
A:そうだね。直雇用のゲームQAポジションは、とても少ない。3~6ヶ月契約が多いね。
仕事が評価され、チームに貢献したら、直雇用になることもあるだろう。

 

Q:この仕事に着くための、なにかアドバイスはあるかい?
A:情報の探し方を知る必要がある。転職エージェントと言うものがあるし、リンクドインで探すのもいいだろう。有機雇用の求人がよく出ている。
QAは始めやすい職種だけど、生涯やる仕事ではないと思う。
QAという職種で何を成し遂げたいか、次に何をするべきかを、ハッキリさせておくべきだ。
ゲームデザイナを目指すにしろ、アーティストを目指するにしろ、何かを作らなくてはならない。

 

Q:テストしたくないゲームってある?
A:あるよ!僕は、ある程度どんなゲームも好きなんだけど、これまで幾つかは目を覆いたくなるようなゲームもあった。
子供用ゲームとか、昔のアーケードゲームのリメイク版とかは、ほんと嫌だったなぁ。
テスト自体に楽しさを見いだせないと、退屈で死にそうな半年間かそこらを過ごすことになる。
そして、雰囲気のよくないチームだと、これに拍車がかかる。
そういうチームで働いてると、楽しそうに仕事している同僚に嫉妬し始めるだろうね。

Q:テストしているゲームに対して、発言権はある?
A:あるよ!ただ、関わっている人々について把握しておく必要があるし、コネを作る必要がある。
つまりは、プロジェクトのリーダと友達になることだね。
馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないね。だけど、ゲームQAはとても徒党根性が強いんだ。
僕がタバコを吸い始めたのも、喫煙所のグループに入るためだからね。

 

Q:週80時間労働ってマジ?
A:修羅場のときは、それぐらい働いていると思う。そして、残念なことに、そんな修羅場はよくありますw

 

Q:この仕事の不安定さについて、どう思う?
A:QAがとても不安定な仕事だ。 ある会社が大量に人を雇ったとしても、雇い続けるのは好みの社員だけで、あとはあっさりクビになる。
まぁでも、そんなもんだよ。
不具合報告書を書く日もあれば、離職票を書く日もあるのです。

 

Q:QAテスターやってて良かったことと悪かったことは?
A:ゲームで生計を立てられているというのは、とても幸せだ。そして、ゲーム好きなひとたちに囲まれてることも。
僕の一番親しい友人は、仕事を通して仲良くなった。
悪いことは、自分のキャリアを発展させるのがとても難しいということだ。

 

Q:自分がテストに関わったゲームを、プライベートでもプレイすることある?
A:基本的には無いね。例外は、鉄拳とソウルキャリバースタートレックオンラインくらい。

 

Q:ゲームテストの仕事が、プライベートのゲームに与えた影響は?
A: 仕事の後は、頭を切り替えることを学んだよ。だから、なんでも楽しめるようになった。
つまりは、以前ほどは、ゲームにハマることはなくなった。
また、最新のゲームを買うために外出することもほとんど無くなった。
発売日に買った最後のゲームはWarlords of Draenorだね。

 

Q:好きなゲームと、その理由を教えて?
A:ロックマン2!他のロックマンシリーズよりもBGMが好きだし、なにより、父親とコントローラを交換しながら遊んだ思い出があるからね。
画面に写ったパスワードをノートに書いてたなぁ。
ロックマンシリーズは好きだね、敵を倒すと彼らの能力を吸収でき、その技が他のボスの弱点になっている仕様が気に入っている。


Q:ゲーム原作で好きな映画とかある?
ストリートファイターだな。最高のG.I.Joe映画だぜ。改めてちゃんと見てみると、あの二人の兵士ってJoesとCobra(G.I.Joeのキャラ)だろ?
あれは白人魂に火を付けるぜ!ラウル・ジュリアと、ジャン・クロード・ヴァンダムのわざとらしい演技もいいよね!
他には、モータルコンバットかな。ゲームのストーリーを上手く映画のストーリに変換したものとしては(っつっても、格闘トーナメントが格闘トーナメントになっただけだがなw)

愛嬌こそが最強の武器

「障害を減らそう、機嫌よく働こう、自分の市場価値を高めよう」
というのが、僕がマネジメントしているQAチームのビジョンです。
自分で言うのもなんですが、このビジョンを作れたこと、特に「機嫌よく働こう」というフレーズを作れたことが、ここ数年の一番の成果だと思ってます。

 

QAチームのビジョンというと「品質向上!」みたいなのをよく見かけます。実際、僕も最初のうちは「障害減らそう、市場価値高めよう」というビジョンを掲げてました。

 

でも、なんかしっくりこなかったんですよね。画竜点睛を欠くというか。僕は、いい仕事をしたいのと同時に、対人関係のストレスを減らしたかった。別の表現すると、嫌な奴と働きたくなかったw

 

そんなときに、なんかの本で「健康で機嫌が良い、という身近な幸せを、もっと現代人は大事にすべき」的なことが書いてあって、すごく共感したのです。

 

「機嫌の悪い人」というのは、一つの災害だと思います。周囲の人に多大な負荷がかかる。なんかの研究によると、チームに1人機嫌の悪い人がいると、周囲3人以上のパフォーマンスが下がるとか(逆にチームメンバの機嫌が良いと成果をあげやすい、という研究結果もあった、はず)。
つまり、其の人にどんだけスキルがあっても、機嫌が悪ければ、周囲のメンバをデバフしちゃうわけです。最悪のパッシブスキル。

 

 

 

機嫌のいい人に囲まれたいですよね。そのためには、まず自分が機嫌よくなるために出来ることを考えて、そして、周囲の人の機嫌を損ねないために何が出来るかを考えていくことが大事かと思います。

諸々の鍵になるのは「礼儀正しさ」なんじゃないかな、と思ってるのですが、そのへんの話はまた今度。