ゆっくりですが、完走はする
- 作者: ウィリアム・E・ペリー、ランドール・W・ライス,成田光彰
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/09/13
- メディア: 単行本
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8章 難題第5位 テストの時間を確保すること
ソフトウェアテスト7原則というものがあります。(参考リンク)
そのうちの2つに、「テストは欠陥があることしか示せない」、「全数テストは不可能」というものがあり、これらの原則は、すなわち「有限の時間で完璧にテストするのは不可能」という結論を示しています。
にもかかわらず、実際の現場では、短い時間で完璧なテストを求められることが珍しくありません。テストというのはソフトウェア開発プロセスの最下流に位置するところであるから、締め切りの帳尻合わせとして、短納期での作業を余儀なくされることがままあり、それでいて、完璧なテストを求められたりします。
これらの矛盾は、一言でいえば、関係者のテストに対する無理解から来ていることが多いです。まず、完璧な品質を得られるテストなど、存在しません。そして、テストによって得られる品質というのは、時間を引数とした関数です。短い時間しかテストさせてもらえないならば、その分、不具合が流出するリスクは増加するものなのです。
品質を重視するならば、テストの時間を確保しなければならないですが、そのためには、プロジェクトのステークホルダに、テスト業務の本質を理解させる必要があります。
テスト担当者がやるべきことは、求められる品質を把握したうえで、それを達成するために必要な時間を獲得するための交渉と、獲得した時間を、少しも無駄にしないように、正確にテストスコープを定めることだと思います。
以下メモ
・欠陥があると疑われる部分だけをテストすることができたならば、テストにかかる時間を大幅に削減することができるだろう。しかし、まったく疑わしくないところから、欠陥が見つかることがよくある。
・優れたテスト担当者は、一方通行の道路を横断するときでも、必ず右と左の両方を見る。
・時間の観点から、何がどう進んでいるのかを把握することは、何を実施することが可能か現実性の高い期待を設定するのに役立つ。
・合理的なのは、要求ベースのテストのようなアプローチを用いて、実行するテストケースを絞りこむことである。そうすれば、状況によっては、テストケースの数を何十万から100未満に減らすことが出来る
・テストの品質は、実行したテストの量や速さで決まるのではなく、何をテストしたかによって決まる。
・テストケースに優先度を付ける基準としては、リスクが最適である。
・テストのもっと多くの重要な部分は、ビジネスに関することなのである。テストは、顧客やエンドユーザに提供される、プロダクトの品質を管理することなのである。
・テスト担当者は、テスト対象のソフトウェアの量を制御出来ないことが多い。しかし、ソフトウェアにタイシて実行する、テストの量を制御することは出来る。
・僅かな共通プロセスを用いた小規模なチームのほうが、大規模なチームよりも、効率が良いことが証明されている。
・プロジェクトの末期(更に悪いことには、ソフトウェアのリリース後)に発見された欠陥を修正するには、非常に高いコストがかかる。