年度末評価の時期です。
仕事は概ね想定通りの進捗だったんですが、一点、この半年で新しい人が一人も入らなかったのが、残念でした。
まぁ、人手は足りてるんですが、それはそれとして、人の流動が無いと、チームはいつか停滞しちゃいます。変化を嫌うチームができてしまう。
この業界、変化を拒んでたら、あっというまにワープアです。来年度は、人を入れつつ、異動を推奨しつつ、変化を楽しむチーム作りを進めていきたいなぁと思ってます。
ということで、メモの続き(ついに1位まできた)
- 作者: ウィリアム・E・ペリー、ランドール・W・ライス,成田光彰
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/09/13
- メディア: 単行本
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12章 難題第1位 「NO」と言うこと
つまり、「この品質では、市場に出せませんよ」とステークホルダに言うことです。これが上手くできないと、テストチームも、そして会社も窮地に陥ることになります。
つい最近、同僚がまさしくこの状況に陥っておりました。納品日が近づいても収束しない不具合。テストチームは毎日レポートを出しているが、誰もそれに目を通さず、ただただ、目の前のバグ修正に追われる開発者。レポートを見れば、リリースに値しない品質だということは、明らかなのですが、納品日はずらすことが難しいため、とりあえず、インパクトの大きな不具合だけを修正し、残りはリリース後のアップデートで対応しようという方針になりました。
しかし、リリース後、ユーザから寄せられるのは、その細かな不具合へのクレームであり、開発チームはそれらの対応に追われることになります。そして、そのストレスは、テストチームへの批判というカタチで向けられるのでありました。
どうすれば、「今は、出すべきではない」という事実を、ステークホルダが納得してくれるのでしょうか。この本が出している結論は、「客観的なデータを集めること」と「誠実に伝えること」の2点です。
データは重要です。テストチームが主観で意見を伝えてしまうと、それは単なるプロダクトへの悪口に聞こえてしまいます。なので、不具合の数、クローズ数、インパクトの大きな不具合の割合といったことを、データとして出す必要があります。
そして、それを伝えるときは、誠実さが大事です。これは、医者が患者に症状を伝えるときのことをイメージしたら良いかもしれません。ふざけてもいけないし、過剰に不安を煽ってもいけません。
プロダクトにNoを言うためには、テストチームの役割とはなんなのかを、時間をかけて理解して貰う必要があります。そのためには、開発チームとしっかりコミュニケーションを取る必要があるのです。
あ、テストチームがリリース権限を持ってる組織もありますが、それでも結局やることは同じで、客観的なデータと、誠実なコミュニケーションが大事でしょう。合格・不合格、それぞれで、ちゃんと納得感があることが重要です。
以下メモ
・テスト担当者が直面する人間関係絡みの最大の難題は、ソフトウェアに問題があることを関係者に伝えることである。一般的な法則として、人は悪いニュースを聞きたがらない。
・テストレポートは、開発プロセスに組み込んでしまうのが、効果的である(定期的に報告をする)
・テスト結果を正確かつ客観的に報告することは、後で自分を守る最善の方法である。システムをリリースした後で、ソフトウェアに問題があるということで、テスト担当者が非難されることがある。そのような状況において、テスト報告は自分を守る優れた方法である。
・テストの評価と報告もテストプロセスの中に定義すべきである
・欠陥を見つけて報告することがテスト担当者の仕事であることを、関係者は理解する必要がある。実際、テスト担当者が事実上失敗する可能性があるのは、検出した欠陥を報告することに失敗した時だけである。
・四六時中ギシギシ行ってる車輪を人は無視するようになる(テストチームが常に否定的なニュースを伝えるようになると、開発チームはそれを無視するようになる)
・テスト報告書には、客観的な情報を記載すること
・悪いニュースだけではなく、肯定的に、正常に機能しているソフトウェアの部分を指摘することは、大いに結構である。
・裸の王様の新しい服の話は、ソフトウェアに問題があることを経営管理者に告げる勇気を誰も持っていない場合に、何が起こるのかの良い例えである。
・システム導入後のレビューは、非常に役に立つものである。鋭い目で過去を振り返って、プロジェクトの良かった点と悪かった点をドキュメントに記載しましょう
・組織が成熟する速さや深さは、上級経営管理者が成熟する速さや深さによって決まる
・改善の焦点を(プロダクトではなく)プロセスに合わせるだけで、殆どの組織において劇的な変化が見られる。
・コミュニケーションとは、自分が行っていることを聞き手に理解出来るように、他の人と情報を共有するプロセスの一部である。「話す」ことと「聞く」ことと「理解する」ことが全て、コミュニケーションのプロセスに関わる