- 作者: ウィリアム・E・ペリー、ランドール・W・ライス,成田光彰
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/09/13
- メディア: 単行本
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9章 難題第4位 投げ渡されたソフトウェアをテストすること
テスターからの不満第一位だと思う。
テストチームにとって、テスト対象のソフトウェアの質が悪く、仕様も固まっていない状態でテストすることほど、ストレスの貯まることはありません。しょうもないバグの報告書作成や、しょうもない仕様質問にひたすら時間が消費されていき、大事なところのテストができない。
にも関わらず、スケジュールが遅れたり、リリース後にインシデントが発生すると、まずテストチームに責任の矢が向けられることは珍しくありません。
したがって、この問題は、テストチームの生産性を高め、かつ社内的な立場を守るために、速やかに解決しなくてはならない問題の一つだと思います。
この章でも明記されていますが、必要なことは、関係各所とのコミュニケーションです。ソフトウェアテストというものの性質を良く知ってもらわなくてはならない。まずはそこからです。
僕の知り合いのテスト技術者は、プロダクト側に最低限クリアしなくてはならないチェックリストを渡し、それをすべてクリアしないとテストはしないようにしてるそうです。チェックリストの中身は「起動すること」とか「今回追加した機能が正常に利用できること」とかそれくらいレベルの低い内容だったそうですが、効果はかなりあったそうで、「しょうもないバグ」の数が劇的に減り、複雑な条件のテストに費やす時間が確保できるようになったそうです。
まぁ、上記のことをやるためにも必要なことは正確なコミュニケーションということになるのでしょうけど。「しょうもないバグや俺らのミスを見つけるのがテストチームの仕事だろ?」と思ってる開発者は、残念ながら居ますから。
以下メモ
・開発者はプロダクトを突然にテスト担当者に送りつけることがある。そのような振る舞いを「投げ渡す」ということがある。
・開発者側では、最終的にテスト担当者が全ての欠陥を見つけてくれるだろう、と想定している。そのため開発者は、たとえ(自身で)テストを行ったとしても、不十分になりがちである。その結果、単体テストの段階で開発者に酔って検出されるべきであったシステム中の欠陥が、テスト担当者によって数多く発見される傾向が強くなる。
・「ソフトウェアを投げ渡す」ような行動の根本原因の主たるものは、コミュニケーションの欠如である。
・(投げ渡されたソフトウェアのテストは)多くは表面的になり、その結果として、重大性の高い欠陥を発見する有効性が下がっていった。
・(投げ渡されたテストで思い通りの結果が出ないのは)人数ではなくプロセスの問題である。
・ソフトウェアがテスト担当者に投げ渡される場合、開発者側には、「自分はテストしている時間が無いから、テストを本業にする人たちに任せておけば良い」、という態度が産まれる。
・テストのコストを論点にしてみると、コミュニケーションがうまくいくかもしれない。開発者がソフトウェアをテスト担当者に投げ渡すようなやり方だと、テストや再作業の回数が増えるため、コストが高くなることを示してみる。
・開発者が実施すべきテストと、テスト担当者が実施すべきテストとを指定した、プロセスを定めることである。
・欠陥除去有効性=テスト中に発見された欠陥の数 / プロダクトの寿命期間中に発見された欠陥の合計数
・品質の高いソフトウェアはひとりでにできるものではない
・仕事に幸福感を感じるためには、3つの事柄が必要である。具体的には、該当の仕事に向いていること、仕事をしすぎないこと、仕事に成功感を感じることである(ジョン・ラスキン -イギリスの作家-)