いつかゲームQAの本を出したいなぁとか思う今日このごろ。
CHAPTER 3 テストの様々な性質:ゲームのライフサイクル
ゲームテストというと、世間的には、ひたすらプレイしてバグを出す、の一言で片付けられがちだけど、ゲーム開発の様々なフェーズに応じた色んなテストがあるんだよ、ということが述べられています。
そう、良いゲームQAというのは、「いま、どんなテストをするべきか」をちゃんと判断出来る人のことだと思います。
安定性とかパフォーマンスとか面白さとか(アプリQAだと)端末カバー率だとか、色んなテーマのテストがあって、それらをどのタイミングでやるべきかというのを、ちゃんとコントロールする必要があります。
プロダクト側は、その辺、意外と無頓着で、ビルドがまったく安定してないのに、「そろそろAndroidで他機種&複数OSバージョンのテストやってくれる?」とか言ってくることも、珍しくありません(そういうときは、ちゃんと、理由を述べて断りましょうね)。
バグの優先度の話とか、任天堂やSCE,マイクロソフトのプラットフォームのコンプライアンステストの話や(これは、最近だとアップルのガイドラインを守ってるかどうかとかとも関わりますね)、バランス調整の話や、ローカライズの話や、ユーザビリティの話など、テストの種類とその目的が網羅されてるチャプターで、新規タイトルのゲームQAを任された人には、とても参考になる内容だなと思いました。
コラム欄も充実してて、トリプルAタイトルを生み出し続ける海外パブリッシャの品質へのこだわりも伝わってきます。
以下メモ
・バグとはわざと作られるものではありません
・バグとは、何かが誤っている状態のことです。これによって、ゲームの質が低下したり、見苦しくなったり、プレイできなくなったりします。
・ゲームにおいて、ゲームをより良いものにすること無く質を落とすような要素は、全てバグです
・テスターの目的は以下の通り
・バグを見つける、バグを再現する、バグを報告する
・副次的な目的は以下の通り
・バグが修正されたことを検証する
・ゲームが楽しいことを確認する
・テストは、開発のあらゆる段階において行われるべき
・ゲームは、生きて呼吸をするソフトウェアです
・アルファのフェーズでは、バグがないゲームを作ることよりも機能を確定することに重点が置かれます
・QAが開発プロセスの最後にあって、スケジュールを調整しやすいものであると誤解されないようにする必要がある。
・いくら機能が優れていても、実装が不完全であれば何の意味も無い
・テスターはローテーションするべき。慣れてしまうとバグに無感覚になってしまうので。
・ビルドが壊れていると、お金は無駄になり、テスターたちは時間を潰すことになる
・QA部門は有益なフィードバックを提供するという点で非常に重要
・QAチームは協力者であって、敵ではないということを開発者が忘れずにいることも、とても重要
・協力は必ずより良い製品につながる
・バランステストのやり方は、ざっくりいうと、テスターを同じくらいのスキルレベルになるようにチーム分けして、スコアを測り、結果に極端な偏りが無いかどうかをチェックする
・互換性テストは、バランステストよりも遥かに技術的要件が厳しいテストである。
・ゲームを数日間動かしっぱなしにするテストのことを「ソーキング」(浸す、の意)と呼ぶ。これによりメモリリークや丸め誤差といった、通常のテストでは検出できないバグを検出することができる。
・楽しさには決まったルールはなく、その要因を確認する方法はテストプレイしかない
・任天堂のゲームにはちょうどよいゲームプレイバランス、つまり「楽しさの要因」が常に備わっている
・ユーザビリティとは、「簡単さ」ではなく「使いやすさ」
・プレイヤーの関心は、コントロールの仕組みではなくゲームをクリアすることにあります。それ以外にエネルギーを使うことになれば、本来得られるはずの面白さが損なわれてしまいます。
・ゲームのテストは簡単に学べるスキルですが、ゲーム業界や、業界と様々なテストとの関係を理解することは、かなり困難です。